([本]のメルマガ vol.411より)
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■「図書館の壁の穴」 / 田圃
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第35回 スタッフ研修!

最近職場で「Googleドキュメント超入門」というスタッフ向けの研修を実施
してみた。
今後はDropboxYoutubetwitterFlickrSlideshareEvernoteなど、
各種Webサービスの研修・実習をやってみようと考えている。

ちなみにこの「Googleドキュメント超入門」は実習込みで50分程度だったが
このくらいのボリュームならば、休館日などを利用して今後継続することも
十分可能だと思う。

この研修では、機能の解説などをできるだけ簡潔に済ませ、実際に操作して
もらうことを重視している。
特にそちらの方面に詳しいスタッフがいる訳ではないので、講師とアシスタ
ントになるスタッフを指名し事前に予習してもらっているが、その研修準備
も、もうひとつの研修としている。
研修後は、それをサービスやバックヤードの業務に必要に応じて実際に使っ
て欲しいので、現場でのディスカッションとその先の実践をフォローする予
定でいる。

YoutubeFlickrSlideshareなどを視野に入れているのは、もちろん図書
館としての情報発信を意識してなのだが、そこで何を公開するかの方が問題
だ。
そこで、サービス案内や資料の紹介などに使用する素材の検討や、動画のシ
ナリオなどを時折考えていたのだが、この検討段階からスタッフに一緒に考
えてもらう方が、より良い研修になるような気もしている。
週明けにも、そんな話を職場で出してみることにしたい。

              *  *  *

僕の勤務先は2004年にオープンした市立図書館だが、開館当時にここを利用
していた中高生は、進学や就職で地元を離れてしまった人も少なくない。
その彼らが帰省した際に、駅前の図書館を見てどう感じるだろう?
進学先の大学図書館や、いま住んでいる町の図書館と比べて欲しいと思う。

ここにも図書館があり司書がいて、情報へのアクセスに関して言えば田舎で
も僻地でもなく、例えば国立国会図書館や県内各図書館、オンラインデータ
ベースなどの膨大な資料・情報も利用できる場だということに気付いて欲し
い。

Windows95の登場と、インターネットの爆発的な普及の後で生まれた世代が、
来春にはもう高校生になる。
その子たちにとっては、GoogleWikipediaは身近なものだろうが、その先
リテラシーを身につけるには、やはり図書館が一番だと思って欲しい。
いずれ進学し地元を離れたとしても、卒業後にまた戻ろうと思う一つの支え
に図書館がなれれば何よりだと思う。

そう考えると、来館者だけ、いま市内に住んでいる人たちだけがターゲット
ということでもない。
社会教育施設の充実がその自治体の魅力となるよう、市内だけでなくもっと
広い目で見る必要がある。
また、図書館は学校や書店などと協力し合うことで、より文化面で地域に貢
献できる可能性がある。
見方を変えると、図書館というものには、まだまだ大きな伸びしろがあるよ
うに思う。

だが、これまでのサイクルから抜け出し、図書館員自らが変わらなければ、
図書館も図書館を見る周囲の目も変わらない。

そこで、いま現場にいる自分たちにできることは、自らの手でできることを
実際にやって、少しづつでも図書館そのものを変えていくことだと思う。
そのための道具として、ソーシャルなWebサービスを活用すれば、潜在的
利用者や、近い未来の利用者とさえも繋がれる可能性が出てくる。

そんなことを目指し、共に動けるスタッフをひとりでも増やせるよう、その
ための最初の一歩のつもりで、今後の館内研修を進めて行こうと思う。

田圃
    http://d.hatena.ne.jp/t_rabi/