久々の更新です。


2月15日、世界の童話図書館@船橋駅前でとある会がありました。
タイトルはずばり

「世界の童話図書館からこれからの図書館を考える会in船橋」!

MULU・トサケン・公共図書館Webサービス勉強会でお声がけをして、集まってくれたのは公共図書館、民間図書館、大学図書館専門図書館学校図書館などなど図書館関係者から、大学関係者、市の職員、出版社の方まで多彩な顔ぶれで総勢31名でした。

発言者はアルパカのぬいぐるみを抱いて発言すること、というルールのおかげか和やかなムードで会が始まりました。

図書館の現状、求められる役割、そしてこれからの可能性…。
それぞれの視点からみた図書館の姿を踏まえつつ、「地域」や「まちづくり」というキーワードで盛り上がり、意見を交わしました。

会はツイート歓迎、ということでみなさん「#これからの図書館」というハッシュタグで呟いたりもしていただいたようです。
井上さんに作っていただいたまとめはこちら→「世界の童話図書館からこれからの図書館を考える会 in 船橋」のツイートまとめ

参加者のみなさま、おつかれさまでした!

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■「図書館の壁の穴」 /  田圃
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第47回 3/16の講演会レポート

大変遅くなってしまったが、このメルマガの1/15号で予告していた、当館で
のイベントについてレポートしておこうと思う。

まず、月替わりで資料を展示している図書館入り口のコーナーで、この3月
には震災・復興関連の資料展示を実施した。
このコーナーは、もともと毎回スタッフがテーマを決めて、資料を選び、キ
ャプションを書いて飾り付けをする形で運営している。
単純にキーワードに合致した本を並べて済ませるのではなく、博物館の展示
を目標にサブジェクトについて調べてキャプションを書こうというスタンス
で展開している。

東日本大震災から2年を経て、どんどん記憶が風化していくことを懸念し、
当館スタッフの発案で、みちのく図書館員連合(MULU)の方々にも本を選んで
もらい、紹介文も書いていただいた。

 ※MULUは、東北の図書館員同士ができるだけ顔を合わせて交流する場を作
  ろうという趣旨で結成された、200名近くのコミュニティです。

各人が紹介してくれた本を見ていると、実際に何を思ってこの2年間を過ご
してこられたのかが感じられて、とても興味深い棚になった。

http://booklog.jp/users/lib-yuki_event?display
=front&category_id=2321163&status=0&rank=0&sort=date_desc

この棚との連動企画として、市民向けに3/16には庄子隆弘氏の講演会を催し
た。
津波の被害からの復興に尽力されている彼は、昨年筑波大学附属図書館で、
自らの被災状況と復興についての講演を行っている。
その後も、各地で講演したり、彼の撮影した写真を都内の図書館が借りて館
内展示するなど、被災の記憶が風化しないよう、活発に活動されている。

講演当日は、図書館が通常の開館日であり、この講演会の運営にスタッフを
割くことが少々厳しい状況だった。
そこで、自分の主催する公共図書館Webサービス勉強会に、会場設営や機材の
設置、受付、司会、撤収などイベント要員を求むメールを流してみたところ、
続々と各地から図書館員が集まってくれ、7名の方にご協力いただけた。
地方小都市の図書館イベントに、現職ライブラリアンがそれだけ集まって働
いてくれれば、戦力としては十分以上だ。
これは本当にありがたかった。

実は僕自身、津波に流されてしまった彼のご実家があった場所を訪れ、何も
かもが流され本当にすべてモノクロームになってしまったような、ここはど
この世界だ?と目を疑うような光景の中で、庄子さん本人から「こんな時に
図書館員に何ができるんでしょうね?」と重い問いを投げかけられたことが
ある。
その言葉が楔のように突き刺さったまま、この2年を過ごしてきた。
だから市の職員として云々ではなく、この企画は個人的にもぜひ実現したい
と思い続けてきた。
その念願をかなえるために、賛同して他の図書館の方々が何人も応援に駆け
つけてくれたことは、本当にうれしかった。

当日の流れは、私が10分間ほど説明をした後に、庄子氏が90分の講演。
自身の体験と、図書館で起きたこと、そこから復興に向けて図書館にできる
ことや、本の持つ力についてなど、随所に本の紹介を織り交ぜながらの濃密
な内容だった。
講演内容の節目節目で図書館イベント棚にも言及され、本の紹介を挟むとい
った構成で、防災関係ではなくきちんと図書館イベントとして成立するよう
大変よく組み立てられた講演だったと思う。
講演後の質疑応答では、次々と質問や感想を述べる市民の方が現れ、大好評
だった。
聴衆の中にいらっしゃった方から、ぜひこの本を進呈したいと、庄子さんに
本が贈られるなど、なかなか熱い感じで、この模様はローカルながらケーブ
ルテレビで放映もされている。

講演の中で僕も庄子氏も言及したが、他館の図書館員が今回手助けしてくれ
たことのように、資料の相互貸借に留まらない図書館員の連携を、この機会
に実現できたことも、この会の大きな収穫だった。

今回は他館の方々に協力いただき、MULUの方々にも棚作りで協力いただくこ
とができた。
だがこれで終わりとは思っていない。
これを発端に、この企画を他館で望むところがあれば、、美術館の巡回企画
展みたいに、部分的でもまるごとでもお渡しすることも可能だし、また逆に
他館の企画もシェアしあうのも面白いと思う。

何もこの震災の話だけでなく、いろんなことで連携し、各図書館が活性化し
社会における図書館のプレゼンスを上げていきたいと思うと同時に、図書館
員のモチベーションも上がるような連携ができればと思う。

自治体直営館の場合、その自治体の税収でやっている以上、こうした協力関
係を業務として実現することは、なかなかハードルが高い。
当面は、今回のような好意で支援しあう輪を広げて行くしかないのかもしれ
ない。
だが、資料の相互貸借では、その自治体のお金で買った本を他の自治体に貸
し出したりしているのだから、イベントなどの相互協力が、いつかこうした
ことが当然のこととならないとも限らない。

指定管理の図書館の方が、この点はまだ動きやすそうに思える。
1つの企業が各地に多くのスタッフを擁しているのだから、企画に応じてそ
れが得意な人を集めて投入するといったことも、出来るのではないだろうか。
そういった活動自体がスタッフ教育にもなり、スタッフのキャリアパスの構
築にも繋げられたら、また面白い試みになるのかもしれない

             *   *   *

講演のあとはもちろん懇親会。

仕事を終えた図書館員だけでなく文化施設関係者も多数懇親会に出るために
駆けつけてくれ、様々な方々と明け方近くまで、体力の限界まで、これから
の図書館や社会教育行政について話し合うという、なんとも熱い交流がくり
広げられた。

これは先日、茨城県図書館協会研修委員会で私が主張したことだが、顔の見
える関係をつくらないと、せっかく研修等でいろんな人が集まっても何も残
らない。報告書を書いてお終いの研修などに、大した意味はない。
そこを突破して、各館のノウハウでも何でも共有できる形を目指す…そんな
意味でももっと個人がナマで話せる懇親会はマストだと思う。
そういうインフォーマルな場でこそ、面白い企画があがることは多いものだ。

自治体直営館は、その地域の税金でやっている以上、広域には目が向きにく
い面があるのだが、それは僕の目から見れば狭い考え方のように思う。
道州制とか大きなことを考えるつもりもないが、シンプルに損して得獲れと
思い何でもシェアして行くことによって、結果的に図書館や本の世界を豊か
にして行ける可能性はある。
今回の当館イベントは、そんな気がする一件ではあった。

田圃
    http://d.hatena.ne.jp/t_rabi
     実は、異動で図書館を離れてしまいました。
     何らかの形で本の世界に舞い戻れるよう、現在活動中です。
     このメルマガに図書館員枠をキープするという責務も感じて書い
     てきましたが、異動になっちゃった以上、それが果たせません。
     そこで、次回からは敬愛する先輩司書が新たに登場してくださる
     予定です。ぜひご期待ください! 

     軽い気持ちで書き始めたメルマガが、なんと8年もの長い連載に
     なっていたことに驚きます。
     お読みいただき、ありがとうございました。
     担ぎ出してくださった前編集担当の守屋さん、引き継いでくださ
     った畠中さんにも感謝しています。
 
     近いうちに図書館界に、これまでとはまた違った立ち位置ででも
     復帰する予定でおりますので、ふらっと寄稿する日も案外近いか
     もしれません。
     ともかく、まずは目先の課題に精進せねば…
     では、またお会いしましょう。

ゆうき図書館の今月のイベント棚『震災からの復興〜二年目の春を迎えて〜』と
の連動企画ということで、東北で被災された図書館の方を招き講演会を催しました。

講演会は業務として私が企画立案連絡調整をしてきたので、主催は当館ですが、
協力:公共図書館Webサービス勉強会&みちのく図書館員連合(MULU)です。
当日の会場の設営から司会、受付、撤収まで、勉強会メンバーの他館のスタッフ
7名と、休日だった私も含め8名の図書館員がボランティアで運営しました。

内容は、私から企画の主旨説明と彼を講師として呼んだ経緯を市民向けに語って
スタート。
続いて講師の庄子隆弘さんに、ご自身の被災体験と図書館のこと、本のこと、復興に
図書館がどんな役割が果たせるかなどといったお話を頂きました。

講演会終了後、ボランティアで来てくださった方も含め、北関東の図書館員9名と
文化施設関係者2名の計11名で大宴会。
ここでも刺激的な話をたくさん浴び、顔の見える関係のもたらすメリットを実感
しました。

協会の研修アドバイザーとして次年度の協会の研修計画に関する会議に出席。

先の経験を踏まえ、「命令されて研修に行きました。復命書出しました。」で

終わってしまうよりも、県内図書館員の顔の見える関係をつくり、ILLだけでは

なく業務相談や企画展示や催事など協力し合える関係を構築しようと提案。

はたしてどうなることか?

筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター主催の「公共図書館のこれからを
考えるワークショップ」に参加しました。

他の方々と一緒に単時間の講演を行い、後半はパネルディスカッションとなり
ました。

登壇者は下記の通り。

http://kc.tsukuba.ac.jp/symposium/kpw2013_m.html

いずれもプレゼンテーション能力の高い方々で、大いに勉強になり、参考にな
ることが多かったのですが、もっとも勉強になったのは、実は終了後の懇親会。
普段お話のできない方々と、ホンネでお話ができて非常に刺激的でした。

互いが抱えている問題点などについても相談しあいながら、今後も良い関係を
継続させていけたならと思っています。

正直、今回に関しては「なんで私が?」と引き受けるのを躊躇していましたが
すばらしい出会いという結果を得られたことをうれしく思い、感謝しています。

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■「図書館の壁の穴」 /  田圃
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第46回 専門用語再考。

図書館体操をご存知の方は、このメルマガの読者にどれくらいいるのだろう
か?
http://gigazine.net/news/20121129-library-gymnastics/

近頃、図書館総合展などでも披露されたこのパフォーマンスは、図書館員向
けの防災や危機管理を意識しての啓蒙活動ということなので、話題になった
り注目を集めるのは、良いことなのだと思う。

だが、これに関連したTwitterでのやり取りの中で、地震があったときの図書
館員の対応として図書館体操では「書架から離れてください!」と叫ぶエク
ササイズがあるのだが、それについて疑問が呈されていた。

来館者に対して書架と言ってもわかりにくい。本棚と言う方が良いのではな
いか?とのことだ。

確かにその通りだと思うと同時に、普段私たち図書館員が、いかに図書館利
用者の感覚と乖離した図書館用語を多用していることかという点について、
少し考えさせられた。

例えば参考図書・配架・閉架・レファレンス・書誌・相互貸借などといった
言葉は、公共図書館を利用する様々な市民にとって、すんなり受け入れられ
るものではないだろう。

サービス業である以上、ユーザーに言葉が伝わらないと仕事にならない。
だから、図書館用語を普通の日本語に置き換えることも必要かもしれないと
いうことを、最近意識している。
当たり前に使ってきた言葉の意味を考え、日常語に置き換える作業は、案外
難しいが面白くもある。

            *   *   *

以下、幾つか宣伝。

1.本が出ました。

 何度かこのメルマガでも言及してきましたが、国立国会図書館と雑誌のオ
 ンライン書店Fujisan.co.jpの配信する目次情報のRSSを利用した、新着雑
 誌記事速報を紹介する書籍が刊行されました。
 これは、僕の勤務先で当時働いていた牧野雄二くんが開発したもので、牧
 野くんと共にブラッシュアップに協力いただいた野田市立図書館の川嶋斉
 氏との共著です。
  「新着雑誌記事速報から始めてみよう
   -RSSAPIを活用した図書館サービス」
   牧野雄二,川嶋斉 著
   発行者:日本図書館協会
   ISBN :978-4-8204-1219-9
   定価 :\1,680

2.筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター、図書館情報メディア系が
  主催するワークショップ

 「公共図書館のこれからを考えるワークショップ〜知の交流・創造・発信
  を楽しみ、元気なコミュニティを育む知的広場〜」が2/22に開催される
  予定です。
  私を含め5〜6人の公共図書館の方々と、筑波の先生たちが登壇します。
  会の後半は、かなりフラットな感じの座談会みたいなものになる模様で
  す。対象は図書館員・図書館研究者&学生・図書館に関心のある一般の
  方々とのこと。
  詳細は後日、日本図書館協会のメルマガや、国会図書館のカレントアウ
  ェアネスポータルなど図書館系の情報サイトに出る予定らしいです。
  私も自分のブログに掲載しますので、ご関心のある方はご確認の上、お
  越しくださいませ。

3.ゆうき図書館3月イベント棚

  茨城県結城市立ゆうき図書館で、3月に震災関連の展示を行います。
  あれから2年を経て、どんどん記憶が風化していくことを懸念し、みち
  のく図書館員連合(MULU)の協力を得て、彼らに本を選んでもらい紹介文
  も書いていただく方向で、いま当館スタッフが調整中です。
  同じ東北でも被災の度合いなどもひとそれぞれ違いもあり、実際にどの
  ような本や資料が役立ったのか、また一昨年の震災からどのような本を
  読み、支えになっていたのかなど、それぞれの体験を元に紹介したいと
  思っています。

   ※MULUは、東北の図書館員同士ができるだけ顔を合わせて交流する場
    を作ろうという趣旨で結成されたコミュニティです。

  他の図書館の方々を大勢巻き込んでのこういう企画は、あまり例がない
  と思います。ご協力いただくみなさんに感謝です。
  よろしければぜひ棚をご覧いただければと思います。
  その棚との連動企画ということで、3/16にゆうき図書館で庄子隆弘氏に
  よるトークイベントを催します。
  津波の被害からの復興に尽力されている彼は、昨年筑波大学附属図書館
  で復興についての講演をされました。
  それから1年を経てどんな話が伺えるのか興味深いところです。
  当日は図書館が通常開館なのでイベントスタッフが足りず、企画した私
  としてはかなり困っていましたが、知り合いの図書館員が次々と手伝い
  を申し出てくれました。
  当日のヘルプ要員は数名ですが、MULUと公共図書館Webサービス勉強会の
  計130名近くの各地の図書館員に協力を仰いでの企画。
  各館、予算も人員も右肩下がりの状況ですから、こういう協力関係で図
  書館サービスを良い方向に持っていくきっかけにできれば、などと思っ
  ています。
  なお、この棚企画そのものをウチの図書館で専有するつもりはありませ
  ん。こういった企画はシェアしていいんじゃないかと思います。
  他館で、あるいは書店さんでこの企画にご関心のある方、ご連絡下さい。
  開催までのプロセスや内容について、可能な限りお伝えします。
 
田圃
    http://d.hatena.ne.jp/t_rabi

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■「図書館の壁の穴」 /  田圃
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第45回 都道府県立図書館と市町村立図書館

神奈川県立の2つの図書館が、一般への閲覧・貸出をやめる検討に着手した
のだという。
専門書の収集や司書の養成などに特化し、コストを約10億円削減するという
方向で、来年度以降に方針を決定するのだそうだ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121108-OYT1T00640.htm?from=ylist

財政の悪化で文化事業が真っ先に切られるのは、企業も大学も自治体も変わ
りがない。役割ではなく経費が真っ先に問題とされてしまう。
また同じことかと思わなくもない。

ただ、今回の神奈川県のケースは、もう少し踏み込んで見ると新しい公共
書館のあり方に繋がるような側面もあるのかもしれないという気がしている。

            *   *   *

何度か過去のメルマガにも書いたことだが、僕の勤務先の人口5万の市立図
書館では、400タイトル近い雑誌の永久保存や複本買わない方針を2004年の開
館以来、堅持している。

だが、人口5万の自治体が、400タイトル以上の雑誌の永久保存を標榜する
というのは、なかなかに厳しいものがある。
なぜウチの市がそれをやらねばならんのだ?そういう大きなことは県に任せ
ておけばいいといった話も度々出てくる。

とはいえ、こちらでは県には無いものも多数所蔵しているし、最後は県に配
送し、あとは任せたと言えるような関係も仕組みも現状は何もない。
要は県に寄りかかるという意識の市町村幹部職員が多数いるということだ。
そして、そういう幹部職員はどこかの部署から異動してきては、数年で異動
や定年退職を迎える。
そして問題は置き去りとなり、いつまでも同じ話を繰り返している。
これはこれで市町村のリソースの浪費だろう。

このあたりの問題に踏み込んで、交通整理をする機会として、今回の神奈川
県の事例を考えてみたらどうだろうか?

都道府県立のやることと、市区町村立のやることに関しては、「都道府県立
は市区町村立の支援が仕事だから直接的な市民サービスに重きを置くもので
はない」という考え方と、「市区町村立のサービスが不十分だから都道府県
立が直接的なサービスもしなければいけない」という考え方がある。
これについては、各地の事情は様々なので、一概にどうするべきであるとい
うのは、少々乱暴なように思う。
だから、各都道府県が中心となって市区町村に呼びかけ、まずはフラットに
話ができる場を作ることが必要ではないかと思う。

別に閲覧や貸出を都道府県はやるべきではないといった急進的なことを僕は
言うつもりはない。
市区町村立が都道府県立の連絡調整機能に依存するばかりではなく、そろそ
ボトムアップで市区町村立側から話が出てもいいと思うし、そこで何でも
県に押し付けるのではなく、分担収集や保存のことあたりから役割の分担を
真剣に考えてもいいだろう。
そのサービスは市区町村立が引き受けるから、この部分は都道府県立にやっ
て欲しいと言う話を、司書ではない幹部職員の調整に任せるのではなく、現
場の司書職員同士が知恵を出し合って考えたい。
これは、文言をならべ立てて解釈に委ねる条例のような大まかな文書をつく
るだけでは当然ながら実効性に欠ける。
いろいろな意見の間をとって、落としどころを見つければいいというもので
はない。現場の作業手順レベルまで踏み込んだ、実施方法の協議が必要なこ
とだ。だからこそ、現場担当者に協議の席についてもらう必要がある。
それをするには、まず各自治体の担当者間の顔の見える関係の構築が必須で
はないかと思う。
図書館で働いている以上、職位に関係なく、 図書館利用者に尽くし、スタ
ッフが喜びを持って仕事ができる環境 をつくろうと思わない人は恐らくほと
んどいないだろう。
そういう最大公約数が見えている以上、話し合いができないとは思わない。

この発想自体がラディカルに見えるのかもしれないが、都道府県立と市区町
村立の関係については、もはや見直しが不可避だろう。

インターネットは、どこが中心ということではなく繋がっている。
各地域の図書館についても、そんなモデルを描いて話が進められると良いの
ではないかという気がする。
どこが中心ということではなく、機能分担をして相互補完し、ユーザーに必
要な資料・情報を届ける仕組みの再構築を、そろそろ考えてもいい。

いま僕は、本職の市立図書館副館長に加え、県の図書館協会の研修アドバイ
ザーという任に就いているが、もし仮に任せてもらえるのならば、県のそん
な仕事もやってみたいと思う。